2024年7月26日金曜日

「SNS型投資詐欺」“全国初摘発”男女90人が一斉逮捕…被害額は10億円超か 中高年を“お手軽”にだます狡猾手口の実態

 昨年から猛威を振るっていた「SNS型投資詐欺」のアジトに23日、全国で初めて警察のメスが入り、24日までにグループの男女90人が逮捕された。


【グラフ】SNS型投資詐欺の認知件数・被害額(警察庁公表)


報道によると、一度の摘発件数としては異例の規模だといい、被害総額は10億円近くに上るとみられている。(廣末 登)


中高年の被害が多い「SNS型投資詐欺」

SNS型投資詐欺とは「相手方が、主としてSNSその他の非対面での欺罔行為により投資を勧め、投資名目で金銭等をだまし取る詐欺(特殊詐欺又はロマンス詐欺に該当するものを除く)」と暫定的に定義される(警察庁広報資料「SNS型投資・ロマンス詐欺の発生状況について」より)。


同資料によれば、以下の被害傾向がみられるようだ。


・SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺ともに昨年下半期の増加が顕著

・1件当たりの平均被害額は1000万円超

・被害者の年齢層は、男性が50歳代から60歳代、女性は40歳代から50歳代が多い

・SNS型投資詐欺はもちろんロマンス詐欺の多くでも、投資が詐取の名目となっている


また、昨年1~12月の認知件数と被害額は「SNS型投資詐欺」2271件、約277.9億円、「ロマンス詐欺」1575件、約177.3億円で、合計被害額は約455.2億円。特殊詐欺(オレオレ、預貯金、架空料金請求、還付金詐欺など)の被害額約452.6億円を上回っている。


トクリュウの犯罪が「対面」から「非対面」にシフト

特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺を広域的に敢行しているのは、従来の暴力団や準暴力団などに分類できない新たな犯罪グループであると考えられている。警察庁は彼らを匿名流動型犯罪グループ(通称:トクリュウ)と位置づけ、昨年7月から取り締まりの強化と実態解明に乗り出していた。


警察庁が公表した冒頭のグラフをみると、昨年あたりから、トクリュウの犯罪が明らかに「非対面」で敢行できるSNS型投資・ロマンス詐欺にシフトしてきていることがわかる。


特に、SNS型投資詐欺の被害額が顕著に増えているのが、昨年7月以降。折しも、同年6月30日には岸田文雄首相が「資産所得倍増元年――貯蓄から投資へ」という首相官邸メッセージを発しているが、そこからSNS型投資詐欺被害は右肩上がりになっている。


日本社会は詐欺犯罪に辟易(へきえき)している。しかし、被害者は日々生まれている。この被害を止めるには、われわれ市民の “リスクセンス”を底上げするしかない。特にSNS型投資詐欺は、アカウントを消して“証拠隠滅”を図られてしまえば捜査は難しく、まず被害金額の回収も困難である。また、「詐欺被害回復」をうたう業者は詐欺の可能性が高いため、二次被害に遭わないよう注意していただきたい。

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