2024年7月15日月曜日

トランプ前米大統領の暗殺未遂、容疑者はどういう人物か

 ドナルド・トランプ前米大統領が13日、東部ペンシルヴェニア州バトラーで開いた支援者集会で演説中に撃たれた。シークレットサービスはその場で射殺した容疑者の身元について14日未明、容疑者の名前をペンシルヴェニア州ベセル・パーク在住の男性、「トマス・マシュー・クルックス」と発表した。20歳だったという。


調べによると、クルックス容疑者は半自動式ライフル銃「AR-15」を使い、演説中の前大統領をめがけて銃撃。前大統領は右耳を負傷し、観覧席にいた男性1人が死亡し、2人が重傷を負った。


BBCヴェリファイ(検証チーム)が取材したところ、容疑者は前大統領の演台から約130メートル離れた建物の屋根の上から銃撃したと思われる。


シークレットサービスに銃撃され死亡した容疑者は、身分証など身元が分かるものを所持していなかった。このため連邦捜査局(FBI)はDNAや顔認識技術を使って、身元を特定した。


クルックス容疑者は事件現場から約70キロ離れたピッツバーグ近郊の閑静で裕福な住宅地ベセル・パーク在住で、地元の介護施設の厨房で働いていた。


米メディアによると、州の有権者登録記録に共和党支持者として登録していた。さらに、2021年にはリベラル派グループに15ドルを寄付したという記録があるという。また、少なくとも1年前から、地元の射撃クラブに所属していた。


■特定のイデオロギー把握せず


FBIのクリストファー・レイ長官とメリック・ガーランド司法長官、並びに捜査幹部は14日、記者団に対して電話会見を行った。


FBIのケヴィン・ロジェク特別捜査官は、容疑者は「単独犯」の様子で、共犯による同様の犯行は特に警戒していないと話した。


さらに、捜査はまだ初期段階だと念押ししたうえで、「容疑者が何か特定のイデオロギーの持ち主だった様子は把握していない」とも述べた。


容疑者が使用したAR-15は、容疑者の父親が合法的に入手したものだと捜査官は確認した。父親が容疑者に銃を与えたのか、それとも容疑者が許可なく持ち出したのかは、捜査中という。


捜査官によると、容疑者の家族は捜査に協力している。


AP通信は匿名の捜査関係者の話として、父親はこの銃を少なくとも半年前に購入したと伝えている。


ロジェク捜査官はさらに会見で、容疑者の車内にあった不審な装置については捜査中だと話した。BBCがアメリカで提携するCBSニュースは、容疑者の車内に不審な装置があったと報道。一般に購入できる部品が起爆装置として使われている可能性もあるとCBSは伝えた。


別のFBI関係者によると、この事件を国内テロ事件として扱う可能性もあるという。


ロジェク捜査官によると、クルックス容疑者に何らかのメンタルヘルス(こころの健康)上の問題があったと示す情報はこれまでのところないという。


ソーシャルメディアなどの投稿から動機を読み取ろうとしているものの、「まだ初期段階」で「今のところ犯行をほのめかすような内容は確認できていない」と捜査官は話した。最近の通話記録からも、動機や計画などをうかがわせる内容は今のところ見当たらないという。


FBIは現在、ヴァージニア州クアンティコにある科学捜査研究所で容疑者の銃や前述の不審物のほか、携帯電話も捜査中。電話の「内容へのアクセスを試みている」のだという。


■父親や同級生たちは


容疑者の父親マシュー・クルックス氏はCNNに対して、「いったい何が起きているのか」把握しようとしているものの、「捜査機関と話をするまで」は息子について報道陣に話すことは控えたいと述べた。


米メディアによると、容疑者が着ていた「デモリション・ランチ」と書かれたTシャツは、銃や爆発物を扱うことで人気のYouTubeチャンネルの名前をあしらったものだった。


複数の報道機関が容疑者の元同級生や同窓生たちに、どういう人物だったのかを尋ねているものの、一貫した人物像は浮かび上がっていない。


地元局KDKAに対して、容疑者と同じ学校に通った一部の若者は、容疑者が「いつも一人でいて」「狩り用の服で登校してくることがあった」と話している。


一方、元同級生のサマー・バークリーさんはBBCの取材で、容疑者は「いつもテストの成績が良く」て、「歴史が大好きだった」と話した。


バークリーさんによると、容疑者は「政府や歴史についてはなんでも知っているみたいだった」、「でも特に変わってるとかではなくて、いつも親切だった」。教師たちにも好かれていたという。


ほかの元同級生はただ、「物静かだった」と容疑者を振り返る。


「そこにいたけど、彼と仲が良かった人がだれかいたのかどうか、思いつかない」と、匿名を希望した元同級生はBBCに話した。「特に彼を気にしたことはないけれども、普通だった」。


べセル・パーク高校の射撃部に所属し、容疑者と一緒に2022年に卒業したジェイムソン・マイヤーズさんはCBSに対して、容疑者は選手になれなかったのだと話した。


「トライアウトで二軍チームにも入れなくて、そのあと在学中、一度も選抜テストを受けにこなかった」


マイヤーズさんによると、クルックス容疑者は「普通の男の子」で、「特に人気があるというわけではなかったけれども、別にいじめられていたわけでもない」という。


「誰かの悪口を言うとかそういうことはしない、いいやつで、こんなことができるなんて思いもしなかった」


(英語記事 US politics must never be a 'killing field', Biden warns / Thomas Matthew Crooks: What we know about the Trump attacker)

0 件のコメント:

コメントを投稿

/*ツイッター用*/