2022年11月25日金曜日

経済産業省 規制料金 東北電力 値上げ申請 関西電力

 家庭向け電気料金(規制料金)で東北電力が24日、3割強の値上げ申請に踏み切った。背景には、ロシアのウクライナ侵攻後に深刻化したエネルギー価格の高騰がある。財務基盤を強化しなければ、電力の安定供給を維持できないからだ。現在、値上げ申請の作業を進めている電力会社は東北電を含めた6社だ。だが、原発の再稼働がままならない状況が続けば、値上げの動きがさらに広がる事態も予想される。


【一覧でみる】電力各社の規制料金の上限に達した時期と10月の電気料金


東北電から申請を受理した経済産業省は専門委員会を開き、4カ月程度の審査を経て、値上げ幅を決める方針だ。経産省は電力会社の申請した値上げ幅を圧縮することが一般的で、実際の値上げ幅は申請時より小さくなる可能性が高い。


東北電が平成25年に規制料金の値上げを申請した際も平均11・41%の申請に対して、認可されたのは平均8・94%。26年12月に関西電力が行った規制料金の値上げ申請(平均10・23%)に対し、27年5月に認可されたのは8・36%だった。


「お客さまに大幅な負担をお願いすることになり、大変心苦しい限りだ」。24日の会見で東北電の石山一弘副社長は厳しい経営状況を説明。人件費や原材料コストを徹底的に見直した結果の値上げ幅だと強調した。


実は、東北電は他にもコスト圧縮を織り込んだ。女川原発(宮城県女川町)2号機が予定通り令和6年2月に再稼働することで、火力発電用燃料のコストを年1千億円程度圧縮できると試算。今回の申請でも規制料金の値上げ幅を平均5%程度圧縮したとする。


現時点で規制料金の値上げを表明していない大手電力4社のうち、関西と九州の両電力は原発の再稼働が進んでいる。九州電の池辺和弘社長は先月31日の会見で「九州は(発電コストが安い)原発が動いている」と話し、値上げを回避する〝余力〟を見せた。


一方、中部、北海道の両電力は規制料金で燃料費の変動を自動的に料金に転嫁できる制度の上限に達した時期が遅く、電力供給コストが料金収入を上回る「逆ざや」が小さい。


ただ、原発の再稼働などが進まず、燃料価格高騰が続けば、この4社も規制料金の値上げ申請に踏み切る可能性は残っている。(永田岳彦)

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