スマートフォンの決済アプリで賃金を受け取る「給与のデジタル払い」が来年4月に解禁される。アプリでよく買い物する人は、入金の手間が省けて便利になる。仕組みやルールをまとめた。
【図解】デジタル給与のメリットと課題
―給与のデジタル払いとは。
賃金の支払いは現金が原則で、従業員の同意があれば銀行口座に振り込める決まりになっている。今後は、「PayPay(ペイペイ)」などに代表される決済アプリを通じた支払いも可能となり、これを給与のデジタル払いと呼んでいる。賃金など労働者に関わる問題を扱う厚生労働省の審議会が10月に解禁を了承した。
―来年4月の給料から受け取れるのか。
賃金の取り扱いを希望する決済アプリ事業者から厚労省が申請受け付けを開始するのが来年4月。そこから、事業者の審査などさまざまな手順を踏む。実際に決済アプリ口座へ賃金が支払われるようになるのは、数カ月先になる。
―支払いの仕組みは。
企業側は従業員にデジタル払いを使うよう強制できないルールで、まずは同意を取り付ける必要がある。決済アプリの口座に入金できるのは100万円が上限で、それを超えた場合、残りはあらかじめ指定した銀行口座に移される。少なくとも月1回は、手数料なしで現金自動預払機(ATM)を使って引き出すこともできる。アプリ事業者はまた、万が一経営破綻しても全額を保証する仕組みを整えることになっている。
―メリットは。
決済アプリに入金する手間が減るため、キャッシュレスでの買い物や送金が便利になる。また、国内で銀行口座を開設しづらい外国人労働者は、賃金の受け取りや送金をしやすくなる。
―課題は。
デジタル払いに参入するアプリ事業者は、生活の糧である賃金を扱うことになる。破綻した場合の速やかな保証や情報漏えい防止策など、きちんとした体制を備えていることが必要だ。確実に受け取ることができるように、厚労省と金融庁が緊密に連携し、事業者に対する審査や監督を徹底することが求められている。
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