中小企業が融資を受ける際に保証人になる「信用保証協会」をめぐり、全国51協会のうち50協会のトップが地元自治体の元幹部であることが、朝日新聞の調べでわかった。政府は「天下り」批判を受けた11年前の国会で是正の意向を示していたが、いまも98%で天下りが続いている実態が明らかになった。
信用保証協会は、中小企業が金融機関からお金を借りやすいように債務を保証し、企業が返済できなくなった場合は肩代わりする。信用保証協会法に基づく公的機関で、47都道府県と4市(横浜、川崎、名古屋、岐阜)にある。 ■全国51協会のうち50で 目立つ副知事 協会トップである会長や理事長の出身を調べたところ、51協会のうち50が地元自治体だった。うち25人は都道府県の元副知事で、その他は県教育長や県議会事務局長、県・市の局長や部長といった元幹部だった。 大阪や兵庫の協会は1948年の設立時から76年間、府県の出身者がトップに就き続けている。 トップが唯一、民間出身なのは富山県の協会。民間出身の新田八朗知事が2020年の知事選で、「金融・経営の専門的知見を持つ人材による協会運営」を目指し、「民間人を対象とした公募」を検討すると公約して初当選した。 協会役員の任命権は知事や市長にあるが、経済産業省や金融庁も協会を監督する。13年の参院予算委員会で野党議員が、協会トップは「自治体からの天下りポスト」と指摘し、「(保証するか否かの)審査体制がずさんだ」とも訴えた。茂木敏充経産相(当時)は「何十年、理事長らが同じところから出ていること自体、適正だとは思っていない」とし、「国民目線で見ておかしいことはおかしいという方向で検討する」と答弁していた。
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