コンパクトな物を表現するために「ポケットサイズ」と言うことがあります。文字通り、服のポケットに入る大きさであることを示す言葉ですが、そのポケットサイズについて、SNS上で法律書「ポケット六法」最新版が話題になっています。発行元の公式ツイッターに「今年もポケットに入りますのでご安心ください」と担当者が投稿しているのですが、添付された写真はどう見ても、かなり無理をして、本の端だけ「ポケットに入っている」状態だからです。
【写真】創刊時はもっとコンパクトだった「ポケット六法」
SNS上では写真を巡って、「入っている」「いや、入っていない」と議論もあるようですが、投稿の狙いについて、発行元の有斐閣(東京都千代田区)法律編集局六法編集部の担当者に聞きました。
創刊時870ページから2000ページへ
Q.「ポケット六法」は毎年刊行しているようですが、最初の発行年を教えてください。発行当初から毎年、同じサイズなのでしょうか。
担当者「1978年11月刊行の『昭和54年版』(1979年版)が最初です。当時は小B6版(およそ縦17センチ、横11センチ、厚さ2センチ)というサイズで、現在よりもさらに小型でしたが、収録法令・条文の増加により、『平成6年版』(1994年版)から、B6変形版という、現在とほぼ同じサイズに変更しました。つまり、創刊時は現在より小型で、厚さも現在の半分以下だったのです。当初870ページだったものが創刊から40年経過し、現在では2000ページを超えています」
Q.なぜ、「ポケット」と名前が付いているのでしょうか。
担当者「先ほど挙げました1979年版の『この本のねらい』には『ハンディーでポケットに入れることができながら、基本的な法学の学習、実務に必要かつ十分な法令を収めるようにした』とあります。文字通りポケットサイズの法令集だったのです。当時、当社では『六法全書』(現在も毎年刊行)、『小六法』(2007年版をもって休刊)の2種類の六法を展開しておりましたが、学習者、実務家の移動時の負担を考慮して、持ち運びしやすいサイズの六法を新たに刊行することになりました。
そうした中、先行書籍の『小六法』との名称の区別を図るために『ポケット』を名称に使用したことが理由の一つのようです。先ほど述べた通り、収録条文の増加によりサイズアップしたため、近年のポケット六法では、もしかしたら、ポケットを選ぶ必要があるかもしれません」
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