2024年6月2日日曜日

デンタルオフィスX 歯科矯正クリニック ザ・グランシールド 歯科医 伊藤剛秀

 失われた27億円 前代未聞の歯科矯正トラブル を1年に渡って徹底追跡取材

[2024/02/14 18:00]


2022年、突如として東京・銀座にあった歯科矯正クリニック「デンタルオフィスX」が閉院した。困惑する患者たち。残されたのは隙間だらけの歯並びと、ローンの支払いだった。



クリニックが患者から集めた金は総額27億円。


歯科事業を始める直前、六本木で経営陣らの誕生日会を開催するなど、羽振りの良さを見せていたが…


患者たちの金は一体どこに消えてしまったのか?複数の関係者を取材。1年間に渡って追跡した。

(テレビ朝日報道局 青木駿)


『毎月5万円キャッシュバック』がストップ 理由は「ウクライナ・ロシア」?

被害を訴える看護師の女性(31)

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番組に情報提供が寄せられたのは、2023年1月のことだった。


被害を訴えたのは、都内に住む31歳の看護師の女性。事の始まりは2021年、「デンタルオフィスX」の関係者からインスタグラムのDMで、マウスピース矯正のモニターの勧誘をされたことだった。


マウスピース矯正のモニターを募集するダイレクトメール

以前から、歯並びに悩みを抱えていた女性。



コロナ禍でマスク生活だったため、矯正が目立ちにくいということも後押しして、2021年8月に、クリニックの運営会社「ザ・グランシールド社」と契約を結んだ。


契約内容は「最初に187万円を負担するものの、モニターとして治療効果をPRすると、毎月5万円がキャッシュバックされる。その結果、およそ3年で実質無料になるというものだった。


しかし、契約から8カ月、事態は急展開する。


突如、毎月キャッシュバックされるはずの5万円が、振り込まれなくなったのだ。


クリニックが、その理由にあげたのは、


「ウクライナ・ロシア問題の影響で海外口座からの送金取引が停止している」

というものだった。


キャッシュバック停止の理由を説明する文書

更にクリニックの予約も取れなくなり、治療もストップしてしまった。

番組も銀座にあるクリニックを尋ねると、驚きの光景が広がっていた。

解体工事が行われていて、クリニックは閉院していたのだ。


デンタルオフィスX銀座院が閉院

番組はクリニックの経営陣らが閉院前に行っていた、社内会議の録音を入手した。


その内容は驚くべきものだった。


クリニックの運営会社「ザ・グランシールド」中村佳敬社長

「全体に説明文、ロシアとかウクライナとか突っ込みどころ満載の文章が出ていたんですけれども、今となって思えば、あの時はあれが最善だったなっていうくらい笑える内容なんですね。炎上してくれぐらいの内容」

ウクライナ・ロシア問題の説明は、ウソだったことを認めていた。


看護師の女性は、SNSで出会った同様の被害者とともに、都内の弁護士事務所に相談した。


集団提訴 2023年1月26日 東京地裁

弁護士の元には全国から被害者312人が集まり、クリニックの経営陣らに対し総額4億5900万円の損害賠償を求める集団訴訟を起こした。警視庁にも、刑事告訴した。


集団提訴後の会見で、被害に遭った看護師の女性は報道陣を前に、感情を露わにした


看護師の女性(被害額130万円)

「借金も残ったまま、健康被害も残り、この先どうしたらいいのかわからない状態です。歯がきれいになって、健康になって、幸せに暮らしていくつもりでした。」

多くの女性たちが巻き込まれた理由の一つに、「世界一の名医」と呼ばれる、伊藤剛秀(いとう・たけひで)歯科医師の治療、という謳い文句があった。


美容業の女性(被害額100万円)

「子どもの頃から出っ歯でずっと歯がコンプレックスだったんですけれども、それが世界一の先生に診てもらえる/だから私は伊藤先生に診てもらいたくて契約を決めました」

被害弁護団の会見でも、記者から伊藤歯科医師関連の質問が相次いだ。


原告312人のうち、伊藤歯科医師の治療を受けたことがある人は1人もいなかった。


番組は伊藤歯科医師に接触を試みた。


すると、本人が「被害者に対して真実を話したい」と、取材に応じた。


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