2020年5月10日日曜日

個人再生の流れ

個人再生手続きの流れ
個人再生手続きは裁判所によって流れが違う
個人再生手続きは、裁判所によって、手続きの進め方や、スケジュールに違いがあります。大きく違ってくる要素としては、以下のようなものが挙げられます。

個人再生委員の選任があるか否か。また、選任された場合、個人再生委員との面接があるか否か。
積立トレーニング(履行テスト)が必要か否か。また、その期間が何ヶ月か。
以下では、東京地方裁判所での手続きについて説明します。なお、東京地方裁判所では、個人再生委員が選任され、また、積立トレーニングの実施もありますので、まずは、それらについて説明します。

個人再生委員とは
個人再生委員とは、個人再生手続きの申立てを行なった後に裁判所が選任する人間で、多くは、債務事件に精通した弁護士です。

個人再生委員の仕事は、申立人の財産や収支状況の調査、負債状況の調査、再生計画案(返済計画案)作成の指導、積立トレーニング(履行テスト)の管理、といったものです。裁判所が1つ1つの事件を細かに管理していくことは難しいため、個人再生委員が、個人再生手続きを迅速かつ適切に進行させるために裁判所を補助していく、ということになります。

積立トレーニング(履行テスト)とは
個人再生手続きは、裁判が終わった後、原則として3年間という長い期間に亘って返済を継続していく手続きですが、その返済期間中、裁判所や再生委員、弁護士は返済に関与せず、お客様が直接業者に返済していきます。そのため、再生計画(返済計画)に無理がないかどうかを判断するため、裁判手続中に、しっかり返済できるかどうかを判断する必要があります。そのために、積立トレーニング(履行テスト)が行なわれます。

具体的には、裁判手続きを進める中で、まず、個人再生委員が銀行口座を開設するので、その口座に、手続後に払っていく金額と同額を入金していく、という流れになります。その期間は、裁判所によって違いますが、東京地方裁判所の場合は、原則として6ヶ月間です。このわずか6ヶ月間で、その入金が滞るようなことがあれば、手続後3年間に亘って返済を続けていくことは無理であろうと裁判所に判断され、再生手続きを裁判所に認めてもらえません。

個人再生手続き申立後のスケジュール
東京地方裁判所において、個人再生手続きは、大まかに以下のようなスケジュールで進んでいきます。

05から、東京地方裁判所の場合のスケジュールとなっています。

01

ご相談

お客様からのご相談をまずは相談事務員がうかがいます。相談事務員がヒアリングした内容を基に弁護士と面談した上で、正式にご契約するかお決めいただきます。

ご相談はご予約制となっております。下記よりご予約ください。

02

受任

正式にご依頼いただくことが決まりましたら、委任契約を締結します。委任契約を締結した日に、まずは債権者(お客様から見て借金相手)に受任通知を送付します。以後、債権者からの取立、返済がストップします。また申立書作成に必要な書類のご案内をさせていただきます。

03

取引履歴の開示

業者から開示された取引履歴を利息制限法に基づき、引き直し計算して借金の金額を確定します。また、過払金がある場合は過払い金の返還請求を行ないます。

04

申立書作成

ご提出いただいた書類※から、申立書を作成いたします。お客様にヒアリングをさせていただくこともあります。

個人再生手続きは、将来的に「継続又は反復した」収入があり、再生計画に則った弁済ができることが条件です。そのため、お客様には、収入証明(給与明細・源泉徴収票・確定申告書・課税証明書等)や家計簿等を提出していただくことになります。

また、清算価値保障の原則の観点から財産・資産状況の確定のため、通帳・保険証券・車検証・不動産登記簿謄本・財産の査定書など資産に関する書類や資料を提出していただくことになります。

個人再生ができる条件

個人再生のルール「清算価値保障の原則」とは?

05

申立(以後、東京地方裁判所の場合のスケジュール)

裁判所に申立書を提出します。

06

個人再生委員との面接

申立と同時に、個人再生委員が選任されます。申立者は、個人再生委員と面接をします。面接では、申立書の内容確認作業が主になります。面接場所は、個人再生委員の事務所だったり、弁護士会館だったりと様々です。

07

手続開始決定

裁判所が、再生委員の意見を踏まえて、手続きを開始する旨の決定を出します。ここから、正式に裁判手続きが開始します。また、手続開始に併せて、同時期から積立トレーニング(履行テスト)も開始します。東京地方裁判所の場合、テスト期間は6ヶ月です。

08

債権額の調査・確定

債権額(借金の金額)の調査と、その確定作業が行なわれます。申立書に記載した金額で確定することが多いですが、債権者(貸金業者など借金相手)から金額について変更の届出があった場合は、その認否(それを認めるか否かを判断すること)が行なわれます。

09

再生計画案の提出

債権額が確定したら、再生計画案を作成し、裁判所に提出します。並行して、積立トレーニングの状況や財産状況等の報告も行ないます。

10

再生計画案に対する意見聴取もしくは書面決議

再生計画案について、債権者にそれを認めるか否かの確認をします。

給与所得者等再生手続きの場合:意見聴取

小規模個人再生手続きの場合:書面決議

11

再生計画の認可・不認可決定および確定

債権者からの意見や、再生計画案の履行実現性などを踏まえて、裁判所から、再生計画の認可決定(認可されない場合は、不認可決定)が出されます。その約1ヶ月後に、認可決定が確定します。この時点で、お客様と当事務所との委任契約は終了します。

12

弁済開始

再生計画認可決定が確定した月の翌月から、再生計画に基づいた弁済を開始します。なお、認可決定確定にあわせて、当事務所は代理人としての業務を終えるため、弁済は、お客様から直接債権者に行なっていただきます。以降は、当事務所も個人再生委員も関与しませんので、お客様の責任の下、弁済を続けていただく必要があります。

以上が、個人再生手続きの大まかなスケジュールです。上記05~12までの期間は、おおよそ6~7ヶ月間です。

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