(ブルームバーグ): 円相場が対ドルで急騰した11日の外国為替市場で日本の通貨当局が円買い介入を実施した可能性が高い。日本銀行が12日公表した16日の当座預金増減要因の予想値と市場の推計値との差が大きかったためだ。
為替取引の実際の決済は2営業日後に行われるため、介入が行われた場合、結果は16日の日銀当座預金残高の見通しに表れる。それによると、為替介入などが反映される財政等要因はマイナス3兆1700億円。東京短資とセントラル短資の16日の予想はプラス4000億円、上田八木短資はプラス2000億円だったことから、差額の約3兆5000億円が円買い介入の規模と推定される。
円相場は11日夜、市場予想を下回る米消費者物価指数(CPI)の発表後に1ドル=161円台後半から157円台前半まで急伸。ドル安のタイミングに合わせて政府・日銀が円買い介入に踏み切ったとの見方が出ている。日銀の日銀当座預金の予想値と市場の推計値に大きな隔たりがあれば介入実施の証左となり得るため、日銀の同データに注目が集まっていた。
東短リサーチの高井雄一郎研究員は、財政等要因の金額が「大幅に下振れているため、3兆円強の介入が実施されていた可能性が高い」と指摘。今回は「米CPI発表を受けて円高・ドル安に振れたところに追い打ちするような感じで円買い介入を実施した可能性が高く、前回5月の介入より少ない金額で4円程度、円高に持っていくことができたのではないか」と語った。
11日の円スポット取引は2022年以降で4番目の多さを記録したと、通貨取引市場としては世界最大のCMEグループが明らかにした。
CMEの代表が電子メールの質問に回答したところによると、同社のプラットフォーム(EBSスポット取引)でドル・円は530億ドル(約8兆4300億円)余り取引された。これは22年に介入が実施された10月21日、9月22日、介入が行われたとみられている24年4月29日に次ぐ規模で、大型の取引が行われたことを示唆している。
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