2015年4月24日金曜日

<グルジア>ジョージアに変更 日本も法施行「露離れ支援」

 日本政府は22日施行の法律で、旧ソ連のグルジアの国名を「ジョージア」に変えた。従来の呼び方はロシア語読みで、ジョージア側は近年の対露関係悪化から英語呼称への変更を求め、日本も同国の「ロシア離れ」を支援した形だ。ただ、当面は混乱も予想され、定着には時間がかかりそうだ。

 ジョージアのツィンツァゼ駐日大使は22日、東京都内の日本記者クラブで開いた自国映画の上映会に先立ち、「(名称を変えた)安倍晋三首相の決定を高く評価したい」とあいさつした。在日大使館は入り口のプレートをジョージア表記のものに付け替え、日本外務省も公式サイトの表記を一新した。

 ジョージアは自国語で「サカルトベロ」と呼ぶが、なじみがなく、1991年に旧ソ連から独立後、英語読みのジョージアで国連に登録した。日本や旧ソ連諸国など20カ国前後でグルジアと呼ばれてきたが、2008年に起きたロシアとの軍事衝突を受け、ロシア語の呼び方を嫌うジョージアは呼称の変更を要請。韓国が10年にジョージアを採用するなど動きが広がっていた。

 日本政府も数年にわたり検討の末、変更が妥当と判断。法案は国会で特に是非が審議されないまま成立した。ロシアからは抗議を受けていないという。日本では89年にビルマの国名をミャンマーに変えた例がある。

 ジョージアの使用に強制力はないが、地図を出版する昭文社は「次の改訂版の際に、新旧名を併記するかどうかを含め、読者の声を聞きながら決めていく」と説明する。一方、東京都にある米国南部ジョージア州の商務代表部は「同名になることで、混同されるかもしれない」と懸念する。日本でジョージアといえば缶コーヒーの銘柄を思い浮かべる人も多い。またジョージアはワインの産地として知られるが、ある輸入業者は「グルジアワインの方が響きが良かったのだが、国の決定だから仕方がない」と話す。【大前仁】

 【ことば】ジョージア

 南カフカス地域の黒海沿いにあり、1991年にソ連から独立。90年代初頭に領内のアブハジアと南オセチアで民族紛争が起き、両地域は事実上の独立状態にある。2003年の民主化運動(バラ革命)でシェワルナゼ大統領(元ソ連外相)が辞任に追い込まれ、親欧米のサーカシビリ氏が大統領に就任。08年8月に南オセチアをめぐりロシアと軍事衝突した。旧ソ連の独裁者スターリンの出身地でもある。人口約432万人。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150423-00000087-mai-int

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